前回↓
平安時代中期の国風文化。唐風を吸収・消化して、日本的な特徴を持つ文化へ。平仮名の登場で紫式部などの女性作家が人気に。貴族は陰陽道に影響を受け、占いが重要視されました。
に続いて、今回は「平安時代-院政期の文化編-」です。
院政期の文化
院政が行われた平安時代末期の文化。
院政期文化の特徴は、庶民や武士、地方の文化を取り入れたこと。庶民や武士にも広がりを見せ、寺社は地方に広がり、ある意味で世俗化した(支配者から世間一般へ開放され、通俗的な要素も含んだ)文化でした。
芸能
今様
当時流行した歌謡「今様(いまよう)」。
今様は”現代風”のような意味で、今様歌の略。後白河上皇が大好きで、上皇が編纂した歌謡集「梁塵秘抄(りょうじんひしょう)」が有名。
猿楽
中国から伝えられた「散楽(さんがく)」に由来すると考えられている「猿楽(さるがく)」。
滑稽なものまねの入った歌舞で、現在の能や狂言へとつながります。
田楽
由来の一つは「田植えの際に豊作を祈る田遊びから発展した」というもの。楽と躍りからなる「田楽(でんがく)」。
催馬楽
もともと各地に存在した民謡や風俗歌を、唐楽風の旋律、楽器でアレンジした歌「催馬楽(さいばら)」。
朗詠
漢詩に曲を付けた歌「朗詠(ろうえい)」。
文学
今昔物語集
天竺(インド)、震旦(中国)、本朝(日本)の説話1000余りで編まれた説話集「今昔物語集(こんじゃくものがたりしゅう)」。
将門記
「平将門の乱」を題材とした軍記物語「将門記(しょうもんき)」。
陸奥話記
「前九年合戦」を題材とした軍記物語「陸奥話記(むつわき)」。
栄花物語
藤原道長の栄華を肯定的に描き、女性の姿なども描かれた歴史物語「栄花物語(えいがものがたり)」。
大鏡
藤原道長の栄華を批判的に、紀伝体で描いた歴史物語「大鏡(おおかがみ)」。四鏡(『大鏡』『今鏡』『水鏡』『増鏡』)のうち、最初の作品。
今鏡
高倉天皇あたりの時代、院政期を紀伝体で描いた「今鏡(いまかがみ)」。四鏡の2作目。
絵画
絵巻物
横長の紙(または絹)を用い、大和絵(やまとえ)と詞書(ことばがき)を織り交ぜ、物語の時間の進行を表現したもの。
源氏物語絵巻
源氏物語を題材として制作された「源氏物語絵巻(げんじものがたりえまき)」。人物の顔は「引目鉤鼻 (ひきめかぎはな)」といわれる1本線で描かれる目、「く」の字で描かれた鼻、しもぶくれの顔、赤い小さな点で描かれる口などが特徴。
伴大納言絵巻
「応天門の変」を題材に、伴善男の陰謀を描いた「伴大納言絵巻(ばんだいなごんえまき)」。
信貴山縁起絵巻
奈良県にある「朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)」(信貴山真言宗総本山の寺)に伝わる絵巻物「信貴山縁起絵巻(しぎさんえんぎえまき)」。
鳥獣戯画
動物を擬人化させ、当時の世相などを風刺した「鳥獣人物戯画(ちょうじゅうぎが)」。「日本最古の漫画」とも言われます。
年中行事絵巻
後白河上皇の命で、公家の行事などを描かせた「年中行事絵巻(ねんじゅうぎょうじえまき)」。
装飾経
装飾を施した写経。
扇面古写経
四天王寺に伝わる「扇面古写経(せんめんこしゃきょう)」。下絵には、当時の生活が描かれています。
平家納経
平清盛ら平家一門が、厳島神社に奉納した「平家納経(へいけのうきょう)」。平氏の栄華などが描かれています。
宗教
上皇、貴族による寺社参詣(高野詣、熊野詣)が盛んに。
院政期に天皇家によって造られた、「勝」の文字が付く6寺「六勝寺(ろくしょうじ)」。
寺社の所属から離れ、庶民への布教を行った僧「聖(ひじり)」。末法思想の広まりから、念仏などを唱えて浄土に往生する「浄土教(じょうどきょう)」が、武士や庶民に広がります。
建築
中尊寺金色堂
「中尊寺金色堂(ちゅうそんじこんじきどう)」。1124年、奥州藤原氏、藤原清衡が建立。浄土教建築の代表例。
富貴寺大堂
「富貴寺大堂(ふきじおおどう)」。天台宗の寺。
白水阿弥陀堂
「白水阿弥陀堂(しらみずあみだどう)」。真言宗智山派の寺。
三仏寺投入堂
「三仏寺投入堂(さんぶつじなげいれどう)」。”投入堂”の由来は、三仏寺の開祖が、絶壁の窪みに法力で仏堂を投げ入れたとされる言い伝えから。
彫刻
蓮華王院千手観音像
「蓮華王院千手観音像(れんげおういんせんじゅかんのんぞう)」。平清盛が、後白河上皇のために造営した寺院。
臼杵磨崖仏
「臼杵磨崖仏(うすきまがいぶつ)」。
浄瑠璃寺本堂九体阿弥陀如来像
「浄瑠璃寺本堂九体阿弥陀如来像(浄瑠璃時ほんどうくたいあみだにょらいぞう)」。
平安時代は以上です。
ありがとうございました。
次回は> 鎌倉時代
コメント
話の流れの中に諸知識が織り交ぜられていて、とてものめり込みやすく参考になります!
ありがとうございます!
鎌倉編待ってます
できました!