平安時代についてわかりやすく【12】院政期の文化

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平安時代についてわかりやすく【11】国風文化

平安時代中期の国風文化。唐風を吸収・消化して、日本的な特徴を持つ文化へ。平仮名の登場で紫式部などの女性作家が人気に。貴族は陰陽道に影響を受け、占いが重要視されました。

に続いて、今回は「平安時代-院政期の文化編-」です。

目次

院政期の文化

院政が行われた平安時代末期の文化

院政期文化の特徴は、庶民や武士、地方の文化を取り入れたこと。庶民や武士にも広がりを見せ、寺社は地方に広がり、ある意味で世俗化した(支配者から世間一般へ開放され、通俗的な要素も含んだ)文化でした。

芸能

今様

当時流行した歌謡「今様(いまよう)」。

今様は”現代風”のような意味で、今様歌の略。後白河上皇が大好きで、上皇が編纂した歌謡集「梁塵秘抄(りょうじんひしょう)」が有名。

猿楽

中国から伝えられた「散楽(さんがく)」に由来すると考えられている「猿楽(さるがく)」。

滑稽なものまねの入った歌舞で、現在の狂言へとつながります。

田楽

由来の一つは「田植えの際に豊作を祈る田遊びから発展した」というもの。楽と躍りからなる「田楽(でんがく)」。

催馬楽

もともと各地に存在した民謡や風俗歌を、唐楽風の旋律、楽器でアレンジした歌「催馬楽(さいばら)」。

朗詠

漢詩に曲を付けた歌「朗詠(ろうえい)」。

文学

今昔物語集

天竺(インド)、震旦(中国)、本朝(日本)の説話1000余りで編まれた説話集「今昔物語集(こんじゃくものがたりしゅう)」。

将門記

平将門の乱」を題材とした軍記物語「将門記(しょうもんき)」。

陸奥話記

前九年合戦」を題材とした軍記物語「陸奥話記(むつわき)」。

栄花物語

藤原道長の栄華を肯定的に描き、女性の姿なども描かれた歴史物語「栄花物語(えいがものがたり)」。

大鏡

藤原道長の栄華を批判的に、紀伝体で描いた歴史物語「大鏡(おおかがみ)」。四鏡(『大鏡』『今鏡』『水鏡』『増鏡』)のうち、最初の作品。

今鏡

高倉天皇あたりの時代、院政期を紀伝体で描いた「今鏡(いまかがみ)」。四鏡の2作目。

絵画

絵巻物

横長の紙(または絹)を用い、大和絵(やまとえ)と詞書(ことばがき)を織り交ぜ、物語の時間の進行を表現したもの。

源氏物語絵巻
(画像は「東屋一」源氏物語絵巻 – Wikipediaより)

源氏物語を題材として制作された「源氏物語絵巻(げんじものがたりえまき)」。人物の顔は「引目鉤鼻 (ひきめかぎはな)」といわれる1本線で描かれる目、「く」の字で描かれた鼻、しもぶくれの顔、赤い小さな点で描かれる口などが特徴。

(画像はJAANUS / hikime kagihana 引目鉤鼻より)
伴大納言絵巻
(画像は「伴大納言絵詞(部分、応天門炎上)」伴大納言絵詞 – Wikipediaより)

応天門の変」を題材に、伴善男の陰謀を描いた「伴大納言絵巻(ばんだいなごんえまき)」。

信貴山縁起絵巻
(画像は信貴山縁起 – Wikipediaより)

奈良県にある「朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)」(信貴山真言宗総本山の寺)に伝わる絵巻物「信貴山縁起絵巻(しぎさんえんぎえまき)」。

鳥獣戯画
(画像は鳥獣人物戯画 – Wikipediaより)

動物を擬人化させ、当時の世相などを風刺した「鳥獣人物戯画(ちょうじゅうぎが)」。「日本最古の漫画」とも言われます。

年中行事絵巻

後白河上皇の命で、公家の行事などを描かせた「年中行事絵巻(ねんじゅうぎょうじえまき)」。

装飾経

装飾を施した写経。

扇面古写経
(画像は扇面法華経冊子 – Wikipediaより)

四天王寺に伝わる「扇面古写経(せんめんこしゃきょう)」。下絵には、当時の生活が描かれています。

平家納経
(画像は平家納経 – Wikipediaより)

平清盛ら平家一門が、厳島神社に奉納した「平家納経(へいけのうきょう)」。平氏の栄華などが描かれています。

宗教

上皇、貴族による寺社参詣(高野詣、熊野詣)が盛んに。

院政期に天皇家によって造られた、「勝」の文字が付く6寺「六勝寺(ろくしょうじ)」。

寺社の所属から離れ、庶民への布教を行った僧「(ひじり)」。末法思想の広まりから、念仏などを唱えて浄土に往生する「浄土教(じょうどきょう)」が、武士や庶民に広がります。

建築

中尊寺金色堂

(画像は「金色堂」関山 中尊寺より)

中尊寺金色堂(ちゅうそんじこんじきどう)」。1124年、奥州藤原氏、藤原清衡が建立。浄土教建築の代表例。

富貴寺大堂

(画像は「大堂(国宝)」富貴寺 – Wikipediaより)

富貴寺大堂(ふきじおおどう)」。天台宗の寺。

白水阿弥陀堂

(画像は白水阿弥陀堂 – Wikipediaより)

白水阿弥陀堂(しらみずあみだどう)」。真言宗智山派の寺。

三仏寺投入堂

(画像は「投入堂(国宝)」三仏寺 – Wikipediaより)

三仏寺投入堂(さんぶつじなげいれどう)」。”投入堂”の由来は、三仏寺の開祖が、絶壁の窪みに法力で仏堂を投げ入れたとされる言い伝えから。

彫刻

蓮華王院千手観音像

(画像は「圧倒的スケールで出迎える美しき千手観音立像群に釘付け」J-TRIP Smart Magazine関西より)

蓮華王院千手観音像(れんげおういんせんじゅかんのんぞう)」。平清盛が、後白河上皇のために造営した寺院。

臼杵磨崖仏

(画像は臼杵磨崖仏 – Wikipediaより)

臼杵磨崖仏(うすきまがいぶつ)」。

浄瑠璃寺本堂九体阿弥陀如来像

(画像は「本堂本尊の9体の木造阿弥陀如来坐像(浄瑠璃寺ポストカードより)」迷い鳥のブログ – Yahoo!ブログより)

浄瑠璃寺本堂九体阿弥陀如来像(浄瑠璃時ほんどうくたいあみだにょらいぞう)」。

 

平安時代は以上です。
ありがとうございました。

次回は> 鎌倉時代

コメント

  1. タヶ より:

    話の流れの中に諸知識が織り交ぜられていて、とてものめり込みやすく参考になります!

  2. みぽ より:

    鎌倉編待ってます